「14歳の君へ」池田晶子さん
今年2月に訃報を聞いたときは驚いた。
「14歳からの哲学」を上梓されてから注目して&されていた方だったので、46歳での急逝は早すぎると考える向きが多かったと思う。
この本は人生における16つのテーマを取り上げて池田さんが説くという内容で、どのテーマを取ってもわかりやすい言葉で池田さんの考えが述べられている。
子どもに教えるということは分かりやすさを追求すること。
渾身の1冊と感じました。
★4つです!
- 作者: 池田晶子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2006/12/23
- メディア: 単行本
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子どもに対する哲学の本は、永井均さんの「〈子ども〉のための哲学」や竹田青嗣さんの「自分を知るための哲学入門」を高校〜大学生のときに読んだりもした。
内容、それから分かりやすさにおいては池田さんの著書の方が優れている。
上記著作の違いについては、女性と男性の考え方の違いなのか、「他人と共存協力することによって素晴らしくなれる」ということにおいて女性は受容的な考えを示すのに、「自分が問い続ける・一生懸命することによって素晴らしくなれる」ということを男性は主張しがちな気がしている。
そして周りを見てみると、どちらかというと世間は女性的な考え方に、そして性別上での「男の子」は女性的な考えを持つようになってきている。
どちらがいいというわけではないが、「そのようになっている」ということを感じる。
人が生きてゆくのは、よい人生を生きるためだ。自分にとってのよい人生、幸福な人生を生きることが、すべての人の人生の目的だ。悪い人生、不幸な人生を生きたいと願う人はいない。すべての人は、よい人生を生きる事を願っている。それなら、人は、悪い心でよい人生を生きることはできるだろうか。
人をだましたり、人を蹴落としたりしながら生きてゆく人が、よい人生、幸福な人生を生きていると君は思うかい?
悪い心になった時、人はよい人生を生きることができなくなっているのだから、生きる目的だって、本当はなくなっているんだ。
悪い心になってまで生きなければならない理由なんか、本当はないんだ。このことに気がつくのが怖いから、世のほとんどの大人たちは、適当に悪いことをしながら、悪いことをしている自分をごまかしながら、なんとなく生きてゆくことになっている。